2005年06月23日

猫の話

数年前、18年間飼っていた猫が死んだ。
『猫は家につく』などといわれるが、両親、自分、弟、という家族の中で明らかに俺についていた。
朝は起こしに来るし、
夜は23時を過ぎると『寝るよぉ』というような鳴き声をしながら、
2階の俺の部屋に上がって来ていた。
しかし、寄る年波には勝てず、
いつからか、歩くことも、自ら食することも不自由になり、
いつ逝ってもおかしくなかった。

そして、冬のある日、
ペンキ屋だった俺はその日も外で仕事をしていると、昼過ぎに携帯が鳴った。
猫が死んだ、という知らせだった。
ショックを感じながら仕事をし、15時の小休憩の時間になった。
そして、仕事の車のそばで休んでいると、駐車場の入り口から猫が一匹やってきた。
猫というのは、野良猫だろうと飼い猫だろうと、あまり他人には容易に近づかない。
しかし、その猫は、俺が近づいても逃げず、抱き上げようとすると自分から身を寄せてきた。
その30分弱、ずっと俺の腕の中にいた。
少し気が休まったので、
『ありがとう』といって放すと、何処かへ行ってしまった。
次の日も、その現場に行ったが、昨日の猫は現れなかった。
きっと、近くの猫が慰めに来てくれたのか、
うちの猫が体を借りて、別れの挨拶に来たのかもしれないと思った。

それから2週間ほどたった日の夜、
眠っていた俺はふと目が覚めた時、足元に猫が歩く感触を感じた。
『あ、来てくれたんだ』と瞬間に思った。
その感触がこちら(顔の方)に向かってくる気配がしたので、
いつもそうしていたように、右腕側の布団を左手で持ち上げた。
うちの猫は、いつも俺の右腕を枕にして寝ていたのだが、腕を横に出さないと入ってこなかった。
そこで、そのときもわざと右腕を横に出さないで、布団をめくってみた。
気配は動かなかった。
そして、俺は右腕を横に出した。
すると、その気配は布団の中に入ってきて、すうっと消えていった。

posted by ぢょんうるふ at 04:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 想ひ月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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